第三者割当増資を実施した結果、議決権の過半数を握る新たな支配株主が誕生する場合は、当該増資を通知・公告し、その2週間以内に議決権の10分の1以上の株主が反対した場合、株主総会を開き、議決権の過半数の賛成を得る必要が生じることとなった(新株予約権の付与についても同様)。
大規模な第三者割当増資の実施は、既存株主の議決権が薄まって利益が損なわれるという問題があり、従来は発行可能株式数の範囲内なら取締役会の決議で株式を発行できたが、支配株主の変動という会社の根幹に関わることを取締役会が決めていいのかという観点から当該規定が新設された。
なお例外ケースとして、当該会社の財務状況が著しく悪化しており、会社の事業継続のために緊急の必要がある場合は、通知・公告から2週間以内に10分の1以上の反対があっても株主総会の決議は不要となる。但し、当該会社はそういう状況だということを立証しければならない。どの程度なら株主総会の決議が不要になるのかは、今後の判例を通して固まっていくと考えられる。