監査法人改革

監査法人ガバナンス・コード(統治指針)が提案された背景は何か。

監査法人ガバナンス・コードとは、2015年に発覚した東芝の会計不祥事を会計監査で見抜けなかったことなどを踏まえ、監査の質の向上や信頼を高めることを狙いとして提案された統治指針のこと。金融庁が2016年末に示した指針案では、5つの原則と22の細目で構成され、経営陣がマネジメント機能を発揮することや、運営を独立した立場で評価・監督する第三者機関の設置などが盛り込まれている。

その上で監査法人は運営体制の整備や所属する会計士の教育などに指針に沿って取り組んでいるかを「透明性報告書」として公表し、監査を受けた企業や投資家などが評価できるようにすることを求められる。

これにより企業側も監査法人の運営を点検することが求められるようになった。改正会社法により、監査法人の選任・解任の提案権は従来の取締役会から監査役会に移ったため、監査役は報告書の内容を選解任に生かすことになる。

会計監査人(監査法人)は、株主や投資家などのために監査報告書を作成する一方、報酬は監査する会社から得ており、潜在的に利益相反の問題を抱えている。監査法人ガバナンス・コードには、監査人の独立性を高め、企業の不当な圧力により監査がゆがめられるのを防ぐ狙いがある。