監査等委員会設置会社へ移行するメリット

監査役会設置会社が、改正会社法で選択が可能となった監査等委員会設置会社へ移行するメリットは何か。

監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行メリットは以下の5点である。
①ガバナンス体制に大きな変更を伴わない
取締役(監査等委員)が取締役会決議の議決権を有していることが監査役会設置会社との大きな相違点である。その他は監査役会設置会社と変わらず、指名委員会等設置会社に移行することと比較すれば、会社のガバナンス体制に大きな変更は伴わない。
②業務執行者に対する監督機能の強化
社外取締役である監査等委員が最低2名以上置かれ、監査等委員会の構成員として監査の役割に加えて監督の役割も与えられ、かつそれらの役割を適切に果たす義務が課されている。
③取締役候補者の適格性および取締役の報酬の妥当性
監査等委員会は、代表取締役等の業務執行者をはじめとする監査等委員ではない取締役候補者の指名およびこれらの取締役の報酬について、株主総会における意見陳述権を有する。肯定的な意見を得ることができれば、候補者の適正性、報酬額の妥当性にお墨付きを得ることができる。
④社外役員の重複・負担の解消
CGコードでは「社外取締役」を2名以上置くことが求められているが、「社外監査役」の設置は求められていない。現行の監査役会設置会社には最低2名以上の社外監査役が存在するので、監査等員会設置会社に移行し、社外監査役を社外取締役(監査等委員)とすることにより、社外役員は社外取締役(監査等委員)2名のみで足りることとなる。CGコードをコンプライすることになり、社外監査役も設置している場合と比較すれば、コスト面でも優位になる。(監査等委員会設置会社は監査役設置不可)
⑤取締役の業務執行の機動性アップが可能
監査等委員会設置会社は、定款に定めを設け、取締役会の決議により重要な業務執行の全部または一部を取締役(=代表取締役・業務執行取締役)に委任することができる。これにより、取締役会における議論・監督機能の深化、モニタリング機能の強化が可能となる。